ExciteサークルExcite
素直な自分が好きですか?   トップ > 練習場 > ご自由にどうぞ
ようこそ tokotan. さん! (あなたはサークルオーナー です) 
トコタンのひとり言(open)

No.3167 水島睦枝先生   ( tokotan. )

読まれた回数 ( 5 ) | 修正 | 削除

≪前へ | 次へ≫
昨日のボイスセラピーの特別ゲストの先生でした。
とっても小柄で可愛い感じの先生です。

テーマは「死者からもらったもの」

元々岡山のご出身で、色々な病院経験のある病理の先生です。
病理学ってどんなのだろう。
漠然と分かるような分からないような・・・・・と、思っていたら、先生から詳しい説明がありました。
私たちの身近では、たとえば胃カメラで検査して、少しヘンなところは細胞の検査をしますよね。
そういう組織の検査をして、臨床の先生と話し合って治療法を決めたり・・・・・
なくなられた方の原因を体をお借りして調べるとか・・・・・
地味でありながら、幅広い知識と経験が必要なものなのだと、私は感じました。
また、ハンセン病にも深く関わられ、今でも色々な記録を残されて入るようです。

そして、いつでも解剖の時は、お一人お一人に手を合わせて、「今から見させていただきます。よろしくお願いいたします。」と
声をかけられるそうです。
色々なお声を聞かせていただくのだそうです。
相手からのサインを見逃さず、コツコツと・・・・・
そういう中で、同じなくなられた方の体でもメスをいれるとき色々な気づきがあるとか・・・・・

肉体はなくなっても、全てがなくなるわけではない。
魂は生きているのですね・・・・・
何が・・・・・そこにあるのだそうです。
それを先生は「なくなられた方からの贈り物」だと思い、大切に色々なところに役立てていらっしゃいます。

そして、毎日顕微鏡との向かい合いの生活の中で、首に異常がでて、右手足が動かなくなり、首を牽引して入院生活を送られます。
その時まで、お子さんのこと、お仕事、ご実家のお仕事、ご両親の事・・・・・
先生は、色々なことを高速回転しながらこなしていらしたようです。
どれだけご心配だったことでしょう。

ただここで先生の転機が訪れます。
寝ている状態で一週間から10日過ぎた頃、上を見ているだけの生活の中でこんな発見をされます。
外にはハトが来たり
夏の日差しが時間によって色々に差し込んできたり
木々が微妙に動いたり・・・・・
空に向かって寝ているんだ・・・・・と。(たいさんぼくの詩のようですね)
その時、詩を書かれたそうです。
その窓からみるものに対しての愛の詩だったと思います。

そしてふしぎなことに・・・・・
あれだけ色々高速回転していた事が、
お子さんは、友達と楽しく生活し
ご両親、お仕事も普通に過ぎている・・・・・

ここからがこの先生の素晴らしいところですね。
普通は「そうか。私、いなくても良いんだ。必要じゃないんだ」と思ったりしてへこみますよね。

所が・・・・・先生は違ったそうです。
この「はなきりん」の詩のように・・・・・
「そうかっ。私の縛りはもう取れたんだ。私は自由に生きていていいんだ」と。
素晴らしいでしょう?

また、「なのはな」はお母様の大好きだった花だそうです。
この詩からも「折れたところを他の芽が代わっている。ちゃんと新しいルートができるんだ。
そうか。私と同じだ。自分の人生を歩いていこう」と。

この先生の口から「そう、何でもありっ」という言葉が出たとき、思わず拍手したくなっちゃいました。

そして、ライフラインなどという相談があるのですが、自殺予告電話をしてくる利用者さんの多くが
10分間お話を聞けば、思いとどまる事が多いとか・・・・・
大切な仕事なんですよね。(なんか、とっても納得)

お話が終り・・・・・どうしても先生と握手していただきたくて・・・・・
そっとお願いしました。
気さくで、とっても暖かくて柔らかい手でした。

そのあと、お食事の時にも先生の今までのご苦労(私はそう思うのだけど、ニコニコ笑って話されるのでそこがまた感動〜〜!!)の
お話をお聞きしたり、若い頃からこんな性格じゃなかったのよと、昔のご自身を話されたり・・・・・

その時、なぜか私のお向かいのお嬢さんが涙をポロポロ・・・・・
よほどご自身の中で重なる部分が合ったのでしょう。
意地悪される立場がとっても辛そうでした。
でも・・・・・
意地悪されたりするのって・・・・・本当はとってもいいものを持っているからなんですよね。
だけど、自分にちょっと自信がなかったりする優しい人だから、へこんじゃうのですよね。
そんな話を向かいの席だからしちゃいました。
先生も「そうそう、あなたは良いものを持っているのよっ」と。
次第に彼女の涙は乾いていって・・・・・
その中にみんなの思いやりや暖かさがあって・・・・・

この素敵な空間にいられるの・・・・・
すごくすごく嬉しかったです。

水島先生の詩をご紹介しておきますね。
詩集、「あかねいろの国」


「雨」


やわらかい ぺるしゃねこの
毛をなでるように
ふくろうの かぜきり羽の 細かい羽毛が
あおばかぜを よこぎっていくように


わたしの なかの あめは
ふりつづく


あまりに ほのかでとらえられない


くちびるを はんびらきにして
あめをうける


何世紀もまえ
たしかに わたしが 動かした
きんにくの うごきを
どこかしっているようなのに
あめは わたしの
くちぴる に ふれない


わたしの なかの
あめは
古代がらすの 半とうめいさを
たべている


そんなこと 知らなくていいんだろ
言い放った男が
すりがらすのように にじんでいく


アスピリンと
ハブラシをいれた
すりがらすの
リュックサックを せおって
わたしは 旅の途中


みずくさの しろい花が
細かいあめの 水紋に
にじんで
ゆれている


あめは
わたしの
そとでも ふっているのか


わたしの 血も 地球も
閉鎖循環系




「みる」

夕日が すき
夕焼けが すき
茜色の空気に ひたっているのが すき
流れていく時を みているのが すき


仏教の修行僧が
美しい女を みる
死んで
蒼ざめて
緑色にふくれあがり
死臭を放って
くずれて
液体となり
白骨となるまで


居る
そばに居る


みる
みている
省略しないで
死臭に そまりもしないで


私の中に
みているものを 飼っている


みているものが すき
目をそらさないものが すき


それは 毎日
めしを食らって
大きくなる


私は 私の中の
みているものが すき


こわいものから
目が はなせないように
すき

もうひとつ・・・・・

「父がいた台所」

土で築いたかまどに
はがまをおいて
火はさかんにもえていた 

ちゃぶ台の上に
ならべた食器に
柿若葉の
朝日のてり返し

とめどなく
ちらちらと
動いて 

井戸から水をくむ
父の手や
なべを下ろす
二の腕の
力こぶにも 

柿若葉のてり返し 

どんな言葉が
かわされたか
まるで
無声映画だが 

庭に柿の木があり
父は
父として存在していた 

私があの世に近くすんでいたころ

*************************

図々しくも・・・・・ユウさんと一緒に手作りの詩集を頂くお約束までしてしまいましたぁ。
また来月手元に届いたら、ご紹介しますねっ 
≪前へ | 次へ≫
投稿日時:2006/08/20 12:39:00
リストへ戻る | このトピックに返信


お問い合わせ - 規約 | エキサイトホーム - Woman.excite - Auction.excite

Powered by OnNet
ClubForYou Ver. 3.0 Copyright(C) 1999-2006OnNet Co., Ltd. All rights reserved
Copyright © 1997-2006Excite Japan Co., Ltd. All Rights Reserved. 免責事項

inserted by FC2 system